「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の研修内容がワーキンググループで具体的に検討され始めましたね。
子ども家庭福祉ソーシャルワーカーについての記事は、これまで以下の通りサイトで、取り上げてきていますので、是非参考にしてくださいね。
新たに創設される子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの資格について、医療や介護・障害のソーシャルワーカーと比較しながら、思うことを書いています。
新しい子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの研修内容についてや、研修が始まるのはいつごろなのか?
子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの勤務先について触れています。
ここでは、子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会ワーキンググループを参考(11月29日現在6回目まで)にして、特に気になる研修の内容や実務経験の範囲等について、ピックアップして触れていきたいと思います。
記事の信頼性
医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。
100時間の研修内容について
ワーキンググループ第2回資料
「子ども家庭福祉に係る研修の研修課程について(案)」100時間の研修の具体的な内容(2022年9月27日第2回資料)が示されていました。大項目だけ以下に抜粋します。
- 子ども家庭福祉を担うソーシャルワークの専門職としての姿勢を培い維持すること(講義・演習20 時間程度)
- 子どもの発達と養育環境等の子どもを取り巻く環境を理解すること(講義・演習40 時間程度)
- 子どもや家庭への支援や介入の方法を理解・実践できること(講義・演習40 時間程度)
価値・知識・技術といった構成になっていますね。
基本的には、研修の受講生は実務者ですから、実践的な内容が大切と思いました。
個々の科目の時間数
子ども家庭福祉に係る研修の研修課程について(案)
第2回の議論を踏まえて、提示した時間数が第3回目で提示されています。
また、個々の科目の時間数(赤字は第6回目での変更点)がより詳細に示されていました。
- 講義:36時間→33時間
- 演習:60時間→63時間
という提示になっていました。
また、資料の中に新たな項目として、以下の記述がみられました。
子ども家庭福祉に係る研修について、他の研修において特定の科目を履修した者については、一部の科目の受講を免除とすることができること。
読み替えを認めるということなのでしょうか。「絶対100時間受講」という形ではないようですね。
社会福祉士との整合性について
特に、ここでは大項目2の内容について取り上げたいと思います。
このワーキンググループの委員である藤林武史氏の指摘が頷けて、社会福祉士の養成課程の中には、児童に関わる児童・家庭福祉(30コマ)があるので、それと被る項目が多いように思いました。
既存の養成課程と整合性は必要であるように私も感じました。
有資格者が改めて、学びなおす機会は重要ですが、既存の資格をしっかり踏まえて、学びがより深まるようなカリキュラムを構成してほしいものです。
一部の科目の受講を免除
11月29日付でWG6回目の資料が公表されました。
その中で、子ども家庭福祉に係る研修について、「他の研修において特定の科目を履修した者については、一部の科目の受講を免除」について、具体的な免除科目について示されていました。
受講者のうち社会福祉士養成課程のカリキュラムのうち「児童・家庭福祉」に該当する科目を履修した者については、講義部分の受講を免除することとの方向で検討してはどうか。
具体的には、社会福祉士を取得していれば、4.5時間免除、精神保健福祉士を取得していれば3時間免除といった内容(講義のみを計算)でした。
議論に挙がっていた既存資格との整合性については、こういった免除といった提案が出されていましたね。
資格を持っている現任者としては、率直に嬉しい反面・・・、制度も大きく変わっている状況で、ソーシャルワーカーの養成研修としてそれで良いのかどうかは、意見が分かれるのではないでしょうか。
現任者にとって100時間はどうか
また、100時間の研修は、現任者にとって、かなり仕切りが高いものですよね。
私は、精神保健福祉士を通信で取得しましたが、レポートがとてもしんどかった記憶があります。だけど、一方でスクーリングは少なかったように思います。
今回は、研修だけでなくそういうレポートで代替の案もあるようだし、働きながらちゃんと取得できるように、例えば、時間と場所に限定されないなどの配慮されたものとなれば良いですね。
3回目のワーキンググループ【資料1】研修の受講方法等についてによれば、以下の整理案が提示されていましたね。
- 【整理案】
- 講義については、インターネット等を活用した遠隔授業等による講義を認め、時間を選ばず講義を受講することを可能としてはどうか。
- 演習については、演習の効果を担保することが重要。このため、受講者の負担感等に配慮する観点から、修業期間について一定の上限を定めた上で、レポート課題の実施等による代替手段を設けず、原則、演習への参加を求めることとしてはどうか。
講義はオンラインなど配信のイメージでしょうか、演習は期間を設けて原則参加という感じですね。
現任者ルートと有資格者ルート
2つのルートをおさらいしておきましょう。

社会福祉士と精神保健福祉士の有資格者の実務経験は何か?
そして、現任者ルートである子ども家庭福祉分野の実務経験と保育士の実務経験については、具体的な内容はこれまで触れらていませんでした。
相談援助の実務経験の範囲について
今回、相談援助の実務経験の範囲について示されていました。


注目すべきは、有資格者ルートの方が認められている実務経験が多いという点でしょう。
実務経験のまとめ
11月29日付のWG6回目の資料をもとに、表にしてみましたので参考にしてくださいね。
WG3回目から6回目を比較すると、かなり実務経験の施設が増えていることがわかります。特に、下段の「証明をした場合に認められる実務経験」の施設の幅が広がっていました。
例えば、介護保険関係や老人福祉、障害福祉関連が追加になっていました。

実務経験の業務量について
WG6回の中には、新たに実務経験の業務量についての言及がありました。
・有資格者ルートについては、子ども又はその家庭に対し、相談援助業務を行った経験があること(※)
・現任者ルート(子ども家庭福祉4年の実務経験者ルート)については、一定程度、子ども又はその家庭に対し、相談援助業務を行った経験があることを、相談援助の実務経験の範囲として認めることを想定。
(※) 子ども又はその家庭に対して、相談援助業務を行った経験があれば、その業務量は問わないこととする。
注目したいのは、有資格者ルートにおいて、その業務量については問わないという提示でした。
社会福祉士の実務経験との「差」について
個人的な見解ですと、社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーが入っていないような・・・。
私の臨床経験からは、CSWの存在は、子どもの支援に欠かせない存在となっています。
どうしてでしょうか?
例えば、社会福祉士の実務経験(相談援助業務の実務経験として認められる職種)を参考にすれば、
市(特別区を含む)町村社会福祉協議会 福祉活動専門員・相談援助業務を行なっている職員
(主として高齢者、障害者、児童、生活困窮者その他要援護者に対するものに限る。)
となっているので、実務経験として含まれるべきと言えます。
実務経験を自分に置き換えてみよう
ちなみに、私めざしは、病院や包括の実務経験にて、社会福祉士の有資格ルートで指定研修が受講できる可能性があるかもしれません。
今後、この実務経験の範囲についても、さまざまな指摘があるでしょうし、随時見直されていくことになると思われます。
みなさんもどれに該当するのか、見られてはいかがでしょうか?
子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会とりまとめ(案)が公表されましたね。
当ブログでは、これまで子ども家庭福祉ソーシャルワーカーについて随時取り上げてきましたが、ここでは「まとめ」をしています。ご参照ください。
めざし