ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)にとっての必携本 おすすめ書籍

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悩める人
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ソーシャルワーカーとして読むべき本はなんだろう?

頑張っておられる現任者や、これから社会福祉士・精神保健福祉士を取得して、ソーシャルワーカーを目指したい方は、こんな疑問が必ずあると思います。

記事の信頼性

医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。


そんな私が、自信(独断と偏見)をもって、現任のソーシャルワーカーにとってのおすすめの書籍をここでは紹介したいと思います。

  1. 対人援助職のスキルアップ
    1. ケースワークの原則新訳改訂版 援助関係を形成する技法 [ フェリックス・P.バイステック ]
    2. ソーシャル・ケース・ワークとは何か【メアリー・E. リッチモンド】
    3. 対人援助の技法 「曖昧さ」から「柔軟さ・自在さ」へ
    4. 対人援助のための相談面接技術―逐語で学ぶ21の技法
    5. 高齢者援助における相談面接の理論と実際第2版 
    6. 援助を深める事例研究の方法[第2版]:対人援助のためのケースカンファレンス
    7. ソーシャルワーク演習ワークブック[第2版]
    8. 地域を基盤としたソーシャルワーク: 住民主体の総合相談の展開
  2. 基礎がために
    1. 福祉の思想
    2. 地域福祉と包括的支援体制 (最新社会福祉士養成講座精神保健福祉士養成講座)
    3. ソーシャルワークの理論と方法[社会専門](最新社会福祉士養成講座)
    4. 子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁 (角川新書)
    5. 現代思想入門 (講談社現代新書)
  3. 医学知識の向上に
    1. 看護のための精神医学
    2. 高次脳機能障害ポケットマニュアル 第3版
  4. 制度知識の向上に
    1. 新訂第五版 身体障害認定基準及び認定要領: 解釈と運用
    2. 診断書を作成される医師のための障害年金と診断書――障害基礎年金・障害厚生年金
  5. 社会福祉士資格取得の勉強のために
    1. 社会福祉士国家試験過去問解説集
    2. 社会福祉士国家試験受験ワークブック

対人援助職のスキルアップ

ケースワークの原則新訳改訂版 援助関係を形成する技法 [ フェリックス・P.バイステック ]

出会ったきた学生たちには毎年のように勧めてきましたし、家庭の事情で別のところで働く同僚には、進呈したこともありました。

バイスティックの7つの原則はあまりにも有名ですね。

原則1 クライエントを個人として捉える(個別化)

原則2 クライエントの感情表現を大切にする(意図的な感情の表出)

原則3 援助者は自分の感情を自覚して吟味する(統制された情緒的関与)

原則4 受けとめる(受容)

原則5 クライエントを一方的に非難しない(非審判的態度)

原則6 クライエントの自己決定を促して尊重する(クライエントの自己決定)

原則7 秘密を保持して信頼感を醸成する(秘密保持)

発行されてから、すでに60年以上経過しているのに、この7つの原則は対人援助職にとって大変重要視され続けています。すごいですよね。
バイスティックは、援助関係を水路に例えています。ソーシャルワーカーの言葉(資源)も態度もこの水路を通じて、動員されるとあります。水路がなければ、情報は意味がないともとれますね。
紹介したこの一節だけでも、新人の時に読む、5年目10年目、そして20年たって読めば、また新しい発見があるすばらしい書籍です。

ソーシャルワーカーを目指す方は、必携ですね。

また、学生も「購入しようとしたら、入荷しないので困っています」ということをよく聞きます。あまり増刷しないのでしょうか?購入できるときに買っておくのも大切かもしれません。

ソーシャル・ケース・ワークとは何か【メアリー・E. リッチモンド】

ソーシャル・ケース・ワークは人間と社会環境との間を個別に、意識的に調整することを通してパーソナリティを発達させる諸過程から成り立っている。
社会福祉士の国家資格で丸覚えした文言ですね。ソーシャルワーカーにとってはあまりにも有名な文言です。
1922年に初版されたので、もう100年目を迎える古典になります。ソーシャルワークの定義を試みた草分け的書籍であり、ケースワークの母と言われています。
なによりも、この書籍は「読みやすい」です。簡素にまとまったケースの紹介があり、それに基づいて定義を試みているので、大変理解しやすいと思います。

ソーシャル・ワークが自立の回復の問題、保健と個人衛生の問題、そのほか精神衛生の複雑な事情を取り扱ってきた ~略~

ワーカーは個人の異常に関してと同様に環境の異常に関しても専心 ~略~

この一文のように今日的なソーシャルワークに通じる点も随所に見られています。「リッチモンドに帰れ」と言われてきたことが書籍から理解できます。
臨床を通じて、その都度、書籍に目を通すことで、リッチモンドの文言理解もまた深まると思います。

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対人援助の技法 「曖昧さ」から「柔軟さ・自在さ」へ

自分の力量のなさで、すごく無力感に苛まれる時、
ソーシャルワーカーとして役に立たない、自分は向いていないんじゃないかと強く悩んだ時、
本書と出会い、拠り所となった書籍です。
筆者である尾崎先生の臨床体験に基づいた内容は、一実務者の私にとって大変腑に落ちるものが多くありました。

「全能感幻想」に固執した援助は、クライエント自身による問題解決や自己決定を援助するものではない。むしろ、援助者自身の不安と無力感の解消をはかるものである。

筆者は、援助の曖昧さや無力感に率直になる姿勢を援助者の出発点と論じています。
この部分だけでも、読んだ私にとっては肩の力が抜けた体験が得られました。
日々の援助の曖昧さや無力感に悩まれている方、必読です。
現在、取り扱いは中古のみのようですね。

対人援助のための相談面接技術―逐語で学ぶ21の技法

対人援助職に必要な技術はなんでしょう。それは「面接」です。
しかし、面接は急にはうまくなりませんよね。それは、トレーニングが必要な技術(スキル)だからです。
スキル獲得のために、大きなヒントを与えてくれる書籍になっています。
例えば、クライエントの発言を言葉で返す「言い換える」技法も、関心・展開・気づきと種類が様々挙げられています。
私が、特に注目したのは「感情の先取り」という技法。クライエントの安心感を与える一つの技法になります。この書籍をきっかけにして実践の中でも、意識して活用するようになりました。
そしてこの書籍が優れている点は、難しそうな内容も、事例が具体的に掲載されているところで、大変わかりやすいのです。

技術を確かなものにしたい方にお勧めです。

高齢者援助における相談面接の理論と実際第2版 

テキストと呼ばれる類の書籍は、アセスメントの内容を解説しているものがほとんどです。
しかし、この書籍は、アセスメントに至るまでの援助職としての基礎を形成するところから掘り下げています。
現場でおざなりになりやすい自己覚知を含め、丁寧に解説されている良書になります。
この難しそうな「自己覚知」については、以下のサイトにまとめていますので参考にしてくださいね。

私のキャリアは、老健の支援相談員が一番初めでした。それから、医療機関でリハビリテーションソーシャルワーク、現在は、地域福祉でのコミュニティソーシャルワークを実践しています。
高齢者に常にかかわってきた中で、壁にぶつかっては本書を読み返しました
例えば、家族システムのアセスメントにおいて、家族力動理解は、現場レベルで腑に落としてくれて、大変本書に助けられた一つになります。
高齢者分野のソーシャルワーカーや対人援助職にとっては必携というべき書籍です。

援助を深める事例研究の方法[第2版]:対人援助のためのケースカンファレンス

ケースカンファレンスは今や業務等の中で当たり前のように行われていますね。
会議でのファシリテーションの技術は、ソーシャルワーカーにとって不可欠なものです。
そんな時、役立つのが有意義な展開のため「40のポイント」をまとめた本書です。
私が関わっている社会福祉士養成校の相談援助演習において、本書をベースにして社会福祉士の学生にケースカンファレンスを実践してもらっています
ソーシャルワークは理論と実践がとても大切になるので、事例研究の手引書として活用できます。
そして本書の素晴らしいと思うところは、助言者(スーパーバイザー)、司会事例提供者記録などケースカンファレンスで重要になる役割を具体的に示してくれています
たとえば、事例提供者へのサポーティブな関りが大事だと指摘していて、

事例提供者に対して最高の「おみやげ」を提供できる事例研究会にする

としています。
現場での事例検討や研究は、粗さがしになりがちだったりするので、しっかりと「何のために時間をかけて行うのか」というところを押さえておきたいものですね。
包括で実践している個別地域ケア会議や自立支援地域ケア会議などにももちろん応用が可能です。
ケースカンファレンスをしっかり学びたい方には、必読と思います。

ソーシャルワーク演習ワークブック[第2版]

本来、学生向けに作成されたテキストではありますが、現任者の方ももちろん使用できる内容になっています。
私は、このテキストを題材の一部にさせてもらって、主任ケアマネジャー法定外研修として「ピアスーパービジョン」を組み立てて、実施しています。

忙しいからできないのではなく、「ケースワークをするならスーパービジョンをセットで行う」のです。

ピアスーパービジョンのすすめは以下のブログ記事をご参考ください。

本テキストは、発行元(株式会社みらい)から試し読みができますので、どうぞ参考に。

地域を基盤としたソーシャルワーク: 住民主体の総合相談の展開

個別支援と地域支援を一体的に実施する。今後、地域包括ケアシステムの深化には必要な手法になります。
理論は大切ですが、それだけでなく、実践者の視点がたくさん盛り込まれて、地域福祉の現任者にとって指南書になる書籍です。
地域福祉においては、アウトリーチがとても大切なアプローチの一つになりますが、これまでの理解や捉え方を本書で拡大させてくれました。
個別と地域を切り分けできないものとして一体的にとらえる視点の重要性。ソーシャルワークの担い手が「日常生活圏域」の側へ移動し、そこでの固有の文脈の中で発揮されること。
現任者が悩んでいるポイントが手に取られているかのように、解消されてく感覚がありました。地域福祉に関わるソーシャルワークの担い手にとっては、必読です!

基礎がために

福祉の思想

障害福祉の父と言われる糸賀一雄氏の書籍です。
西日本で最初の重症心身障害児施設「びわこ学園」を設立し、「この子らを世の光に」の言葉がとても有名ですね。
市の支援員養成講座の人権の一コマを講義する際、読んだ本です。
昭和43年に書かれた書籍ですので、その時代背景も知ることができましたし、戦後、権利思想がどのように醸成されてきたのかの考察が大変興味深かったです。
取り上げるのは、以下の一文です。

主権在民の民主主義の思想が国民生活のなかに定着したのは、それを受け入れるだけの素地があったからだと見なければなるまい。

戦後突然、憲法に生存権や基本的人権が明記されたわけではない。というのが糸賀氏の主張です。
人権を考える上で、実践家でもあった糸賀氏に学ぶことが多くありました。
より、人権を学びたい方にお勧めのロングセラーになります。

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地域福祉と包括的支援体制 (最新社会福祉士養成講座精神保健福祉士養成講座)

2021年から社会福祉士のカリキュラムが見直されたことに伴って、新しく追加になった項目になります。今後の社会福祉士に大変期待が寄せられている分野になりますね。
地域共生社会を実現していくための基礎的な足がかりのために必携というべきでしょう。多機関協働をどのように展開していくのか、ヒントになることがたくさん見ることができます。

ソーシャルワークの理論と方法[社会専門](最新社会福祉士養成講座)

プレゼンテーションネゴシエーションといったこれからのソーシャルワーク実践に必要となる技術が解説されているので、各技術の入門書として、読んでおきたいところですね。日々の実践に落とし込んで有効活用していきましょう!

子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁 (角川新書)

私は、地元のソーシャルワークの研修会で濱島先生とふうせんの会の当事者の方のお話を聞く機会がありました。その中で、大変印象深かったのは、「見えづらい」というそのヤングケアラーの実態です。また、当事者の方も、感情的のサポートを含めて「大変だけど・家族のこと」といった複雑な思いを抱いていることが伝わってきました。

事後的な現在のケースワークではこの問題には立ち向かえないのではないだろうか・・・。私は講義のあと、そんな風にも思いました。全体的に“あたたかさ”を感じた研修会。そんな当事者とともにある同氏がまとめたヤングケアラーについて、その現状を伝えてくれる貴重な書籍だと思います。

現代思想入門 (講談社現代新書)

とある研修に参加(その後の懇話会にて)したときに、講師の先生が「これを読んだらいいよ」と言っていた書籍。いつもだったら手にとらない本だと思うけど、ちょっと踏み出して読み進めると・・・、これはとても分かりやすい。分かりにくいことを分かりやすい言葉で解説してくれているので、まず読み進められることが大きな特徴
私は福祉職対人援助職であるから、例えば「人が自由に生きることの困難について語っている思想」とか言われてしまうと、まさにこの思想は福祉的なんじゃないかと捉えてしまったし、「グレーゾーンにこそ人生のリアリティがある」という指摘は、答えがないこの対人援助職の救いでもある。
主流派の世界のなかで主流派のやり方に合わせて生きていくことが前提になっている。ここに注意するべきです。」という視点は、障害福祉などのマイノリティについて、新たな見方を授けてくれました。
久し振りに読むのがわくわくした。そんな書籍です!!

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医学知識の向上に

看護のための精神医学

表題は看護のためとなっていますが、内容は対人援助職へのメッセージになっています。
コメディカルや福祉職であるソーシャルワーカーにとっても、大変参考になる書籍です。
かんたんな言葉で説明されているため、わかりやすく以下のように読み物のようです。

精神科医療を<こころ>の病気だという際の最大の副作用は、家族や隣人、時に本人までも「こころがけが悪いからなった病気である」と考えることである。これは有害な誤解である。

こういった文体の合間合間には、筆者の人柄が垣間見れ、すらすらと読み進めることができました。
そいった柔らかさもありながら、精神医学について伝えたい内容はしっかりと記載されています。
例えば、睡眠と覚醒では

「眠気がいったん来て去ったら、去り行く眠りの波を追いかけずに次の波を待つと良い。」

など、現場で困っているクライエントに大変役に立つものばかりでした。

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高次脳機能障害ポケットマニュアル 第3版

高次脳機能障害をとりまく進歩と変容に伴い最新情報を盛り込んだ改訂第3版になります。
高次脳機能障害の理解からリハビリテーションのノウハウを丁寧に紹介されています。
そして、豊富な図表が良いですね。
大変コンパクトで、リハビリテーション病院勤務の時は、よく読み返していました。
学術的(専門家にとっての)高次脳機能障害と行政的(支援対策としての)高次脳機能障害があることに注意したい。
大変良書になりますので、これ一冊あればかなり重宝すること間違いなしです。

制度知識の向上に

新訂第五版 身体障害認定基準及び認定要領: 解釈と運用

身体障害認定における「認定基準」・「認定要領」・「疑義解釈」などの関係通知を、障害種別ごとに整理・編集されている良書。
福祉の専門家であるソーシャルワーカーにとっては欠かすことのできない本と言えるでしょう。
「医療の出口が福祉の入り口」この書籍を通じて、福祉に繋げていく。大切な書籍になります。
診断書の記載例なども具体的に記されていて、わかりやすいですね。必携本です!

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中央法規出版
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診断書を作成される医師のための障害年金と診断書――障害基礎年金・障害厚生年金

本書の特徴は、やはり記載例が多く掲載されている点でしょうね。
実際の診断書の記載例を全部で16例掲載されています。例を見るだけでも良い学びになります。
また、この本から障害年金基本的なことから応用的な点までいろんなことが学べます。以下のコラムもこの書籍から学びえたものをまとめています。参考にしてください。

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社会福祉士資格取得の勉強のために

社会福祉士国家試験過去問解説集

とにかく、「過去問題集」をただひたすら繰り返し解いていました。何周したかわからないぐらいに。
1回の試験につき、150問もあるわけですし、一通り解くだけでもとても時間がかかりますよね💦、大変だった記憶があります。
社会福祉士は、19科目と科目数がとても多いです。何から取り組んでよいのやら、分かりにくいわけですが、

  • 解くにあたって
  • 試験の特徴
  • 受験対策

と、ポイントを絞って掲載されていますので、大変分かりやすい本書です。

社会福祉士国家試験受験ワークブック

ワークブックは、いわゆる「レジュメ」ですね。
基本的に過去問題からこのワークブックは作成されていますので、過去問を解いて、知識をまとめておきたいレジュメとして活用していました。

参考書の使い方などは、社会福祉士になるには~勉強方法を紹介します~で詳しく紹介しています。

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