ソーシャルワーカーとして読むべき本はなんだろう?
頑張っておられる現任者や、これから社会福祉士・精神保健福祉士を取得して、ソーシャルワーカーを目指したい方は、こんな疑問が必ずあると思います。
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記事の信頼性

医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。
そんな私が、自信(独断と偏見)をもって、現任のソーシャルワーカーにとってのおすすめの書籍をここでは紹介したいと思います。
対人援助職のスキルアップ
ケースワークの原則新訳改訂版 援助関係を形成する技法 [ フェリックス・P.バイステック ]
出会ったきた学生たちには毎年のように勧めてきましたし、家庭の事情で別のところで働く同僚には、進呈したこともありました。
バイスティックの7つの原則はあまりにも有名ですね。
原則1 クライエントを個人として捉える(個別化)
原則2 クライエントの感情表現を大切にする(意図的な感情の表出)
原則3 援助者は自分の感情を自覚して吟味する(統制された情緒的関与)
原則4 受けとめる(受容)
原則5 クライエントを一方的に非難しない(非審判的態度)
原則6 クライエントの自己決定を促して尊重する(クライエントの自己決定)
原則7 秘密を保持して信頼感を醸成する(秘密保持)
発行されてから、すでに60年以上経過しているのに、この7つの原則は対人援助職にとって大変重要視され続けています。すごいですよね。
バイスティックは、援助関係を水路に例えています。ソーシャルワーカーの言葉(資源)も態度もこの水路を通じて、動員されるとあります。水路がなければ、情報は意味がないともとれますね。
紹介したこの一節だけでも、新人の時に読む、5年目10年目、そして20年たって読めば、また新しい発見があるすばらしい書籍です。
ソーシャルワーカーを目指す方は、必携ですね。
また、学生も「購入しようとしたら、入荷しないので困っています」ということをよく聞きます。あまり増刷しないのでしょうか?購入できるときに買っておくのも大切かもしれません。
ソーシャル・ケース・ワークとは何か【メアリー・E. リッチモンド】
「ソーシャル・ケース・ワークは人間と社会環境との間を個別に、意識的に調整することを通してパーソナリティを発達させる諸過程から成り立っている。」
社会福祉士の国家資格で丸覚えした文言ですね。ソーシャルワーカーにとってはあまりにも有名な文言です。
1922年に初版されたので、もう100年目を迎える古典になります。ソーシャルワークの定義を試みた草分け的書籍であり、ケースワークの母と言われています。
なによりも、この書籍は「読みやすい」です。簡素にまとまったケースの紹介があり、それに基づいて定義を試みているので、大変理解しやすいと思います。
ソーシャル・ワークが自立の回復の問題、保健と個人衛生の問題、そのほか精神衛生の複雑な事情を取り扱ってきた ~略~
ワーカーは個人の異常に関してと同様に環境の異常に関しても専心 ~略~
この一文のように今日的なソーシャルワークに通じる点も随所に見られています。「リッチモンドに帰れ」と言われてきたことが書籍から理解できます。
臨床を通じて、その都度、書籍に目を通すことで、リッチモンドの文言の理解もまた深まると思います。
対人援助の技法 「曖昧さ」から「柔軟さ・自在さ」へ
自分の力量のなさで、すごく無力感に苛まれる時、
ソーシャルワーカーとして役に立たない、自分は向いていないんじゃないかと強く悩んだ時、
本書と出会い、拠り所となった書籍です。
筆者である尾崎先生の臨床体験に基づいた内容は、一実務者の私にとって大変腑に落ちるものが多くありました。
「全能感幻想」に固執した援助は、クライエント自身による問題解決や自己決定を援助するものではない。むしろ、援助者自身の不安と無力感の解消をはかるものである。
筆者は、援助の曖昧さや無力感に率直になる姿勢を援助者の出発点と論じています。
この部分だけでも、読んだ私にとっては肩の力が抜けた体験が得られました。
日々の援助の曖昧さや無力感に悩まれている方、必読です。
現在、取り扱いは中古のみのようですね。
対人援助のための相談面接技術―逐語で学ぶ21の技法
対人援助職に必要な技術はなんでしょう。それは「面接」です。
しかし、面接は急にはうまくなりませんよね。それは、トレーニングが必要な技術(スキル)だからです。
スキル獲得のために、大きなヒントを与えてくれる書籍になっています。
例えば、クライエントの発言を言葉で返す「言い換える」技法も、関心・展開・気づきと種類が様々挙げられています。
私が、特に注目したのは「感情の先取り」という技法。クライエントの安心感を与える一つの技法になります。この書籍をきっかけにして実践の中でも、意識して活用するようになりました。
そしてこの書籍が優れている点は、難しそうな内容も、事例が具体的に掲載されているところで、大変わかりやすいのです。
技術を確かなものにしたい方にお勧めです。
高齢者援助における相談面接の理論と実際第2版
テキストと呼ばれる類の書籍は、アセスメントの内容を解説しているものがほとんどです。
しかし、この書籍は、アセスメントに至るまでの援助職としての基礎を形成するところから掘り下げています。
現場でおざなりになりやすい自己覚知を含め、丁寧に解説されている良書になります。
この難しそうな「自己覚知」については、以下のサイトにまとめていますので参考にしてくださいね。
私のキャリアは、老健の支援相談員が一番初めでした。それから、医療機関でリハビリテーションソーシャルワーク、現在は、地域福祉でのコミュニティソーシャルワークを実践しています。
高齢者に常にかかわってきた中で、壁にぶつかっては本書を読み返しました。
例えば、家族システムのアセスメントにおいて、家族力動理解は、現場レベルで腑に落としてくれて、大変本書に助けられた一つになります。
高齢者分野のソーシャルワーカーや対人援助職にとっては必携というべき書籍です。
援助を深める事例研究の方法[第2版]:対人援助のためのケースカンファレンス
ケースカンファレンスは今や業務等の中で当たり前のように行われていますね。
会議でのファシリテーションの技術は、ソーシャルワーカーにとって不可欠なものです。
そんな時、役立つのが有意義な展開のため「40のポイント」をまとめた本書です。
私が関わっている社会福祉士養成校の相談援助演習において、本書をベースにして社会福祉士の学生にケースカンファレンスを実践してもらっています
ソーシャルワークは理論と実践がとても大切になるので、事例研究の手引書として活用できます。
そして本書の素晴らしいと思うところは、助言者(スーパーバイザー)、司会、事例提供者、記録などケースカンファレンスで重要になる役割を具体的に示してくれています。
たとえば、事例提供者へのサポーティブな関りが大事だと指摘していて、
事例提供者に対して最高の「おみやげ」を提供できる事例研究会にする
としています。
現場での事例検討や研究は、粗さがしになりがちだったりするので、しっかりと「何のために時間をかけて行うのか」というところを押さえておきたいものですね。
包括で実践している個別地域ケア会議や自立支援地域ケア会議などにももちろん応用が可能です。
ケースカンファレンスをしっかり学びたい方には、必読と思います。
ソーシャルワーク演習ワークブック[第2版]
本来、学生向けに作成されたテキストではありますが、現任者の方ももちろん使用できる内容になっています。
私は、このテキストを題材の一部にさせてもらって、主任ケアマネジャー法定外研修として「ピアスーパービジョン」を組み立てて、実施しています。
忙しいからできないのではなく、「ケースワークをするならスーパービジョンをセットで行う」のです。
ピアスーパービジョンのすすめは以下のブログ記事をご参考ください。
本テキストは、発行元(株式会社みらい)から試し読みができますので、どうぞ参考に。
ソーシャルワーク実践における意思決定支援
近年、「意思決定支援」についてはソーシャルワークにおいて中心的な概念と位置付けられています。本書では、ソーシャルワーカーの倫理と意思決定支援の関連性を整理しています。
私としては、ソーシャルワーカーの原則である自己決定と意思決定支援の概念整理がとても参考になる。法人や職場での事例検討会においても、この整理を活用しています。
地域福祉のため
地域を基盤としたソーシャルワーク: 住民主体の総合相談の展開
個別支援と地域支援を一体的に実施する。今後、地域包括ケアシステムの深化には必要な手法になります。
理論は大切ですが、それだけでなく、実践者の視点がたくさん盛り込まれて、地域福祉の現任者にとって指南書になる書籍です。
地域福祉においては、アウトリーチがとても大切なアプローチの一つになりますが、これまでの理解や捉え方を本書で拡大させてくれました。
個別と地域を切り分けできないものとして一体的にとらえる視点の重要性。ソーシャルワークの担い手が「日常生活圏域」の側へ移動し、そこでの固有の文脈の中で発揮されること。
現任者が悩んでいるポイントが手に取られているかのように、解消されてく感覚がありました。地域福祉に関わるソーシャルワークの担い手にとっては、必読です!
伴走型支援 新しい支援と社会のカタチ
伴走型支援を展開されてこられた奥田氏の書籍。社会保障制度はサービス給付型が中心です。この「つながり自体が価値がある」という伴走支援の理念は、ソーシャルワーカーにとって大切な拠り所になると思います。積極的なケースワークや、アウトリーチ機能の本質となる考え方を学ぶことができます。



