ソーシャルワーカーにとって必要な多職種連携

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多職種連携ってどうやってやるのがいいのかしら?

ここでは、こういった多職種連携についての疑問に答えたいと思います。

記事について

  • ソーシャルワーカーにとっての多職種連携
  • 多職種連携の簡単なまとめ
  • 顔の見える連携の先へ より良い多職種連携の解決策
  • これからのソーシャルワーカーにとっての多職種連携に必要な視点

記事の信頼性

医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。

近年、この「多職種連携」がとても注目されるようになりましたね。

多職種連携において、ソーシャルワーカーはどのような役割を担っていけばいいのでしょうか。

医療機関と包括の経験を踏まえ、多職種連携のポイントを以下に紹介していきたいと思います。

ソーシャルワーカーにとっての多職種連携について

ソーシャルワーカーは、文字通りソーシャルワークを行うのが得意です。でも、多職種のことはあまり知らないのが現実ではないでしょうか。

旧カリキュラムにおいても、多職種連携という文言はあまり出てこないものでした。カリキュラムの変遷については以下を参照してください。

20年前に社会福祉士を取得した私としては、ずっとこんな疑問があります。

めざし
めざし

多職種連携をソーシャルワーカーはきちんと知っているのかな?

現在の社会福祉士や精神保健福祉士の教育課程には、ほとんど多職種を知る機会がありません

実習中も、基本的にはソーシャルワーク実習になるので、ヒアリングやインタビューはあってもなかなか多職種ときちんと話し合う時間がないのです。

養成課程の最中は自分の職種の勉強で手いっぱいでしょう。

多職種については、知識としては知っている程度になるしかないのではないでしょうか。

多職種連携の簡単なまとめ

ソーシャルワーカーにとっての多職種連携について、簡単にまとめてみました。

医療ソーシャルワーカーの「連携」

私は、保健医療機関でソーシャルワークを10数年行っていました。

病院では、ライセンスを持ったプロフェッショナルだらけです。

そして、患者が在宅復帰する際には、かかわる専門職もたくさんいます。

まさに、多職種連携の”るつぼ”といっても良いと思います。

多職種連携を知るカギとして、医療ソーシャルワーカー業務指針にはこう記されています。

高齢者や精神障害者、難病患者等が、疾病をもちながらもできる限り地域や家庭において自立した生活を送るために、医療・保健・福祉のそれぞれの サービスが十分な連携の下に、総合的に提供されることが重要となってきている。

この業務指針は平成元年に報告書がまとめられました。

医療と福祉の連携については、平成元年という、予てから明記されいることが分かります。

介護支援専門員の「連携」

平成12年に介護保険がスタートし、ケアマネジャーが登場します。

「介護支援専門員」とは、要介護者等からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス等を利用できるよう事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するもの

ケアマネジメント(コーディネーション)が大変注目された時期ですね。

当時、多くの先輩医療ソーシャルワーカーたちがケアマネジャーとなったことを覚えています。

”人材流出”なんて当時は思っていましたが、20年経って振り返れば、ソーシャルワークの価値としては同じなんだと今は思っています。

もちろん、ここでも連絡調整の文言がでてきます。

社会福祉士の「連携」

社会福祉士は、大きな見直しが平成19年にありました。

見直しの理由としては、介護保険制度の施行等による措置制度から契約制度への転換です。

教科書でみるような歴史の中で、社会福祉士を取り巻く状況は大きく変化して、今後の社会福祉士に求められる役割が整理されました。

その時に、定義に追加されたのが、以下の「連絡・調整」という文言です。

それ以前は、相談に応じるという定義のみでした。今見ると、そうなのか!という感じですね。

厚生労働省

地域包括ケアシステムにおける「多職種連携」

そして「多職種連携」という言葉が頻繁に厚生労働省に登場し始めたのは、地域包括ケアシステムが謳われ始めた平成26年ごろです。

「団塊の世代」が全て75歳以上となる2025年に向け、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築のために、質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進

という文言がでてきます。

ここで、ソーシャルワーカーにとって大切な文言があるので、地域包括ケアシステムの内容を見てみましょう。

地域包括ケアシステム 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現。

ここで注目したいポイントが2つあります。

1つ目は、以下の文言です。

医療ソーシャルワーカー業務指針医療・保健・福祉のそれぞれの サービスが十分な連携の下に
総合的に提供
地域包括ケアシステム医療・介護・予防・住まい・生活支援が
包括的に確保
医療ソーシャルワーカー業務指針と地域包括ケアシステムの比較

この2つは、ほぼ同じ意味で使用されていることがわかります。

時が流れて、現在では包摂や包括という言葉が公文書にも多くなりました。

「総合的に提供」から「包括的に確保される」と言った文言を見ても、その変遷が垣間見れますね。

2つ目は、その目的についてです。

それは、いずれにしても、当事者の「自立した・自分らしい生活(暮らし)」のためを目指しており、全く同一であることが分かります。

この2つのポイントがとても大切ですね

なぜなら、質の高い生活を支えるのがソーシャルワーカーの役割だからです。(ソーシャルワーカーの役割については、以下を参照してくださいね。)

今までの変遷を見てきましたが、ソーシャルワーカーにとっての「多職種連携」は、突然出てきたものではありません。

もっといえば、地域包括ケアシステムの考え方も、ソーシャルワークととても密接です。

多職種連携」については、ソーシャルワーカーは、予てから実践を積み重ねてきていることが分かります。同時に、非常に大切なものということが分かります。

ですが、連携を大切にしている職種ではあるものの、冒頭で触れたとおり、多職種について学ぶには限界があります。

顔の見える連携の先へ より良い多職種連携の解決策

多職種の理解は、やはり臨床の中で学ぶしかないと私は思います。

そして、昨今「顔の見える連携」についてもよく聞きます。

『行政と医療・介護関係者が良好な関係(顔の見える関係、話が出来る関係等)をつくる』

参考:在宅医療・介護連携推進事業の手引き

「顔は見えたよね。じゃその先はどうやったらよいのか。」というのが臨床家の大半の思いです。

ここでは以下の解決策を提示したいと思います。

良好な連携の決定要因(対人関係要因)

①連携の喜び

②信頼

③コミュニケーション

④相互尊敬

引用:多職種連携の技術 野中 猛

この「良好な連携の決定要因」について解説しているのが、以下の書籍です。それ以外にも、実践事例とともに編集されているので、大変読みやすい良書となっています。

多職種連携について学びたい方にとっては、大変おすすめです!!

上記の要因を踏まえて、基本ステップとして、以前Twitterで紹介した実践を以下に挙げたいと思います。

  1. 症例を積み重ねる。地道に・・・。
  2. 話せる多職種を見つける。例えば病棟に一人から、地域で一人から。
  3. 多職種の視点を教えてもらう。
  4. リスペクトできる多職種に出会えたら◎
  5. ①▶④また①からサイクルする。④が難しければ、再チャレンジでも。

連携や調整の質は目に見えにくいところですから、このポイントを押さえて、しっかりと向上させていきたいものです。

これからのソーシャルワーカーにとっての多職種連携に必要な視点

大切にしたい視点

これまでを踏まえて、大切にしたい視点は次の通りです。

めざし
めざし

多職種を尊敬し、頼りにしてもいいですが、寄生してはいけません。

ある程度の緊張関係は、必要不可欠で、結果それぞれのパフォーマンスを上げることにつながります。

地域社会への視点

そして、多職種連携といえば、今やライセンスをもった方々を指すことだけではありません

ソーシャルワーカーは、地域社会にも目を向けなければいけません。

まさに地域共生社会に向けたこれからのソーシャルワーカーに期待されている分野です。

例えば、わかりやすいのは、ごみ問題です。

当事者が違う曜日にごみを出してしまって、市が回収してくれない。でも、ごみはというと、近所の気づかれた方が片付けてくれている。地域の民生委員や自治会の方々の見守りで支えられている。現在、地域福祉に関わらせてもらって、隣近所の方々がこまめに見守っておられることが、本当によく分かる。

生活を支援するというのは人と人との「支え合い」なのだと支援の本質を教えてもらっています。

めざし
めざし

大切な視点は、

その地域にすでにある「互助」の力をちゃんとソーシャルワーカーが捉えることです。

そして、対話すること。

そして、その地域にあった強める方法を見つけていくこと。

ケースワークやケアマネジメントと同じですね。エンパワメントする視点です。

住民の考え方や風土、培われた文化も含めて、地域アセスメントがなければ始まりません。

病院や施設もすごい社会資源の塊ですが、地域も大きな社会資源です。

これからのソーシャルワーカーは、幅広い多職種を理解し、地域を含めたチーム作りができるようになっていく必要があります。

一緒に頑張っていきましょうね。

めざし

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