ここでは「ソーシャルワーカー」について、わかりやすく理解するために例え話をアンパンマンで試みたいと思います。
だいたいの方はアンパンマンは観てるかな。最近はサブスクがあるし、コンテンツが豊富だから観てない家庭もあるだろうけど。
以前、似たような記事を書かせてもらっています。そちらは比較的定義に基づいて真面目に記載したので、もしよければ、参考にしてくださいね。
記事の信頼性
医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。
例え話の前に
この例え話は、以前から参加させて頂いているオンライン上の勉強会の中での意見交換で出てきたものです。
このオンラインの集まりは、ようかん@社会福祉士さん主催のもの。
ようかんさんは、私と同じ現任者なのですが、ほんとたくさんのフォロワーがいているソーシャルワーカーさんです。
私個人的には、ようかんさんのツイートは、とても「密度の濃い・それでいて広い受け皿」といった印象を持っています。
私なんかは、各論の中の各論・・・、といった視野の狭いツイートしかないのですが、ようかんさんは、総論というか、福祉だけでなくて、きっと教育とか分野横断的に響く言葉を綴っておられるのだと思います。(本氏には言ったことないですけど💦)
そのツイートを読み、触れるだけでも、目にした者のタイミングで、いろんな響き方や落とし込みができると思います。
福祉のみならず、幅広い対人援助の方・そうじゃない方もフォロー(ようかん@社会福祉士)してみてくださいね。
ようかんさんはじめ仲間たちとの私的な意見交換ですし、すべてが理論的であるわけではありませんが、非常に分かりやすいソーシャルワーカーの例え話があったので、ここで紹介したいと思います。
ソーシャルワーカーは誰だ?
まず一人の参加者さんが、何気なく話をし始めたところからスタートします。いつもざっくばらんな感じです。
私はヒーロー的存在の「アンパンマン」になりたくて、福祉の勉強を始めました。だけど、先生とのやり取りで、ソーシャルワークに照らし合わせて考えると、物語の主人公は「当事者」だから、アンパンマンが当事者じゃないか?という話になったのです。
え!!アンパンマンはヒーローでしょ、当事者って!!
そもそも、この「アンパンマンが当事者」というとらえ方自体が、これまで自分にはなかったことだったし、にわかに思考回路が停止してしまった。
勉強会が朝ということもあって・・・。
それですぐさま思い出したのは、以下の文言だった。
援助の本質とは、問題解決の主体を援助する側ではなく、本人の側に置くところにある。(岩間伸之・援助を深める事例研究の方法)
誰のための援助なのか、主体は誰か。
そうそう、援助者のための援助にならないように私たちは努めなければならない。
事例検討も本人がいるところから行うものだったし、主人公は当事者だから「アンパンマンが当事者」という捉え方は、ほんと核心的かも。
じゃあ、「それいけアンパンマン」の世界ではソーシャルワーカーは誰なの?
アンパンマンを支援している人という見方で考えると、ソーシャルワーカーはジャムおじさんではないかという話になったんです。
ジャムおじさんがソーシャルワーカー⁉
「ジャムおじさんがソーシャルワーカー」そうか、そうきたか。これまた驚きでした。
あらためて、考えてみたのですが、当事者であるアンパンマンのニーズは何でしょうか?
それはやっぱり「愛と勇気のヒーロー」ということでしょう。ヒーローとして活躍することが彼のやりがいだし、自己実現といったところでしょうか。
この自己実現を支えて支援しているのは、ソーシャルワーカー「ジャムおじさん」という見方。
ここまでのこの例え話に、参加者の中からは異論は出ませんでしたが、私にはちょっとした以前からのジャムおじさんに対しての個人的反感があって・・・、その話をさせてもらいました。
あの世界で、ジャムおじさんが良い大人。彼が全体を見渡すことができる存在のはず。バイキンマンは、おなかを空かせて悪さをしているのだから、目一杯食べさせてあげればよいのではないか?とずっと思っていました。「ジャムが悪い!!」なんて冗談言っていましたが、ジャムおじさんがソーシャルワーカーということであれば、私はソーシャルワーカーですから「私自身が悪い」ということになってしまって、ちょっとびっくりしています。
好きに投げ続けていた言葉の矢が、長い年月(結構な)をかけてブーメランのように自分に「グサッグサッ」と突き刺さった瞬間でした。
バイキンマンは何か?
次に、バイキンマンは医療・介護・福祉における何か?という話にもなりました。ここはかなり、重要です。
例えば、そのままの「細菌やウィルス」や「疾患」としての捉え方が挙げられました。
どれだけ叩いて、アンパンチしても、またやってくる。
私が以前、医療ソーシャルワーカーだった時に、医師が治療で『叩き切る』と言っていたことを思い出しました。なるほど、物語でも彼はこの世から無くならないから、何回倒されてもまたやってくるんだね。
「障害」というとらえ方もできる。身体・知的・精神といったさまざまな障害として存在しているから、そういった彼をどのように乗り越えるのかが大切とPSWさんから。
また、彼はそこにいるから、共存も考えていかないといけないとグループホームの方から。
また、こんな意見もあって、そういった彼(障害)が存在しているからこそ、分かち合えたり、新たな価値の気づきがあったり、共生したりできるんじゃないか?
バイキンマンを否定ばかりもできないね(←ここがかなり重要と思います。)
そして、「生活課題」という捉え方。ソーシャルワーカーは生活課題を取り扱うけど、本人にとってそれは生活課題なのか考えることが大事。周りが「課題」と思っているだけで、当事者にとってどうなのか。
ソーシャルワーカーとは?まとめ
といったところで、ソーシャルワーカーの説明を以下にまとめてみました。
アンパンマン(当事者)がバイキンマン(疾患や障害など生活課題)に直面しても、そのヒーロー(ニーズ)が実現するようにサポートする存在がジャムおじさん(ソーシャルワーカー)である。
これだけ見ると、なんだか訳が分からないですが・・・💦、アンパンマンという勇逸な題材があるからきっと、ソーシャルワーカーを分かりやすく説明していると私は思うのです。
そして、ジャムおじさんの支援方法についても、かなり臨床的なヒントがありますし、そして、他の登場人物にも話題が上りました。それはまた追記したいと思います!!
最後にアンパンマンの作者やなせさんの言葉に、
「困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場や国に関係なく、「正しいこと」。これは絶対的な”正義”なんです。
なんのために生まれてきたの?
やなせさんの「絶対的な正義」がソーシャルワークの原理である社会正義にマッチしているのかな。
そして、こうも語っています。
中略
ばい菌というのは、やられるとまた次の新しい型がでてくるんです、絶えずね。ようするに、我々はその戦いの中で健康を維持しているという原則を、この話の中にいれてあるんですよ。
なんのために生まれてきたの?
アンパンマンにおける共生・・・、まさに今の世の中を表しているんじゃないでしょうか。福祉職はじめ対人援助職は、是非この書籍を読むことをお勧めしたいと思います。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました。
いつも、新しい視点を授けてくれているようかんさんや勉強会の仲間たちにも感謝したいと思います。
めざし