障害年金受給に関しての請求のサイトは数多く存在しますが、その注意点についてはあまり触れられていません。タイトルがまさに注意点なのですが、書籍を読んでもあまりまとまっていないので、ここでは障害年金受給の際、そのポイントをわかりやすく解説していきます。
事例:脳梗塞を発症したクライエントAさんは、発症から6か月経過した時点で、病院のソーシャルワーカーと相談して、障害年金(2級相当一上肢の用を全く廃したもの)を請求しました。
一見、なんでもないような経過ですが、見落としがちな注意点がいくつもありますので、詳しく見ていきたいと思います。
障害年金には、「障害認定日」という考え方があります。まず、それを見ていきましょう。
「障害認定日」とは、障害の認定を行うべき日のことをいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6か月が経過した日または1年6か月以内にその傷病が治った場合においては治った日をいいます。
引用:診断書を作成される医師のための障害年金と診断書 年友企画
一見わかりづらいですが、障害認定日は初診日から、1年6か月後が基本になるということです。
ただ、Aさんの傷病は脳梗塞です。脳梗塞は神経系統の障害になり、条件を満たせば、1年6か月以内でも障害認定日として取り扱いが認められます。次は、それを見ていきましょう。
脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6か月経過した日以降に、医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。
引用:診断書を作成される医師のための障害年金と診断書 年友企画
医療保険においても、脳血管疾患のリハビリテーションの期間は、原則150日から180日に定められています。こういったことからも分かるように、6か月という期間が取り扱いに例外的に認められているのです。医学的とあるので、診断する医師の判断はもちろん必要です。
Aさんの場合は、医療ソーシャルワーカーが主治医に障害認定が可能かどうか聞き、年金請求を行うことになった。といったところでしょうか。私も、リハビリテーション病棟で担当してきたクライエントに対して、6か月をめどに障害年金を請求のお手伝いをしてきました。
実は、クライエントAさんには、以下の追加情報があります。
追加情報:Aさんは、初診日には健康保険に加入しており、傷病手当金を受給していた。
ここで注意が必要なポイントは、障害厚生年金と傷病手当金の関係性です。
健康保険の傷病手当金については、①療養中で、②仕事につけず、③4日以上休み、④給料の支払いがない4つの条件を満たしたときに、支給を受けることができます。ですがAさんは、障害年金を請求しています。以下の文言をかならず確認しましょう。
傷病手当金は1年6か月の範囲で支給されますが、同一の傷病について厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金が支給されるようになると打ち切られます。
引用:診断書を作成される医師のための障害年金と診断書 年友企画
Aさんは、初診日から6か月で障害年金を請求したことで、受給していた傷病手当金が打ち切られる事態が発生します。
みなさんにぜひ行って欲しいのは、まさにこの傷病手当金と障害年金との関連性、制度理解です。脳血管障害については、早く請求が認められていることから、注意が必要ですのでよく検討してから主治医(ソーシャルワーカー等)と相談するようにしましょう。
入院され、生活上困りごとがあれば、かかりつけ医に所属する医療ソーシャルワーカーによくご相談いただくことをお勧めします。