子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの取得に係る研修 ~保育士ルートまとめ~

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「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の研修内容がワーキンググループで具体的に検討されています。

子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会とりまとめ(案)が公表されましたね。

当ブログでは、これまで子ども家庭福祉ソーシャルワーカーについて随時取り上げてきましたが、ここでは「まとめ」を取り上げてきていますので、是非参考にしてくださいね。


ここでは、子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会ワーキンググループを参考にして、特に「保育士ルート」をまとめて、ピックアップして触れていきたいと思います。

保育士から子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの取得を検討されている方必見です。

記事の信頼性

医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。

保育士ルートについて

子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの現任者ルートには、2種類ルートが設定されています。一つは、子ども家庭福祉分野の相談援助の実務経験「現任者ルート」と、もう一つが「保育士ルートになります。

現任者ルートの名前が同じなのでややこしいですが、以下を参考してください。

有資格者ルート社会福祉士・精神保健福祉士相談援助の実務経験2年
現任者ルート現任者ルート子ども家庭福祉分野の相談援助の実務経験4年
保育士ルート保育士の実務経験4年
筆者作成

この現任者ルートは当分の間の経過措置として設定されていますので、保育士さんにとっては、新たに設けられるソーシャルワーカー資格を取得する機会になりますね。

このソーシャルワーカーの想定されている任用や就労先については、以下を参考にしてください。

保育士の実務経験について

この子ども家庭ソーシャルワーカーの認定資格については、令和3年度社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会報告書を踏まえたものになっています。

この報告書の中で保育士への指摘は、

子ども家庭福祉に関し十分な知識をもち、実務経験豊富な保育士の者も参画できるよう、当分の間の措置として新たな資格を取得可能なルートを設けること。その際、ソーシャルワークに関する研修を受講し、十分に能力が身につくことを前提とすること。また、対象となる保育士の範囲は、相談援助や保護者対応等の経験に留意しつつ、今後検討すること。

保育士の実務経験について、児童福祉施設等に勤務する保育士と保育所等に勤務する保育士は、その経験の態様が異なるため、保育士の対象範囲の検討の際、分けて考えるべき。また、その検討は早期に行うことが必要である。

こういった意見をもとに、保育士については、その勤務する施設によって、現任者ルートとなるのか、保育士ルートになるのかが分かれることになっています。

「保育ソーシャルワーク」という言葉もよく目にするようになりました。子どもだけでなく、保護者への対応、その養育環境などにも支援を展開する視点が大切という広がりがあります。

子どもや家庭を取り巻く状況が多様化・複雑化して、それらに対応していく必要があるのは、高齢分野も障害分野も普遍的な課題ですね。参考:保育士養成課程等検討会(平成27年6月から)

さまざまな施設形態で活躍する保育士がおられることから、この子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの取得方法としては、勤務する施設でルートが異なるというところを押さえておきたいですね。

そして「保育士ルートの実務経験」については、要支援児童等対応推進事業の地域連携推進員ということであれば限定的でしょうし、また、副主任や専門リーダーということはその取得要件から保育士7年以上の実務経験が自ずと必要ということでしょうか。

令和元年度「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」では、保育士の平均勤続は年数は、11.9年。主任保育士は、23.7年となっていました。

では、「現任者ルート」と「保育士ルート」の違いは何か?それは、課せられる研修内容が異なることが分かってきました。

それを次の項目で触れていきましょう。

保育士ルートの研修について

保育士ルートの研修はどのような内容なのでしょうか?次は具体的な内容について見ていきたいと思います。

今回のソーシャルワークに係る研修は、子ども家庭福祉分野の相談支援等を行う専門的な知識や技術を持った者を養成するため、相談支援等に係る基本的な知識や技術を身に着けることを目的として実施するもの。
○ 上記を踏まえ、ソーシャルワークに係る研修については、
・ 今回の認定資格では子ども家庭福祉の現場で働く現任者に取得いただくことを想定していることから、受講の負担を十分考慮する必要があり、単年度内に履修を終えた上で試験を受験できるよう、保育士の現任者に係る研修(保育士ルート)について、子ども家庭福祉に係る研修と合計した時間が 270 時間程度となるよう実施することとしてはどうか。
(※)週に 8 時間研修を受講することと仮定。そのうえで、試験の準備期間及び突発的事情による研修受講不能期間をそれぞれ 2 か月想定すると、8 か月(274 時間)で履修を終える必要がある。
保育士ルートにおける研修の時間数については、講義78時間演習78時間見学実習9時間としてはどうか。
(※)見学実習について 1 日 4.5 時間の受講を 2 日間実施することを想定して9時間、演習について 1 日 8 時間程度の受講を2 週間実施することを想定して 78 時間とする。

すこし、わかりやすくするために表にしてみましたので、参考にしてくださいね。

合計講義演習見学実習
現任者ルート97.5時間58.5時間39時間0時間
保育士ルート165時間78時間78時間9時間
ソーシャルワークに係る研修比較

子ども家庭福祉に係る研修が100時間とされているので、ソーシャルワークに係る研修と合わせると、保育士ルートの方は、合計約270時間となります。

保育士ルートになるのか、現任者ルートになるのかで、研修時間が異なってくることが分かりました。

ここでは現任者ルートはあまりふれませんが、現任者ルートにおいては、ソーシャルワークに係る基礎的な内容が免除されていました。

児童福祉司任用前講習会や児童福祉司任用後研修等においては、ソーシャルワークの内容が踏まえられているようですが、例えば、この研修を受講しておられない現任者への担保はどうなるのでしょうか。個人的には、とてもそのあたりが気になりました。

児童分野において、ソーシャルワークについて学ぶ機会が現任者ルートには複数設けられているのでしょうか。

ちなみに社会福祉士養成課程では、ソーシャルワークに関わる科目としては以下の

  • ソーシャルワークの基盤と専門職 30時間
  • ソーシャルワークの基盤と専門職(専門) 30時間
  • ソーシャルワークの理論と方法 60時間
  • ソーシャルワークの理論と方法(専門) 60時間
  • ソーシャルワーク演習 30時間
  • ソーシャルワーク演習(専門)  120時間
  • ソーシャルワーク実習指導 90時間
  • ソーシャルワーク実習 240時間

約660時間(一般養成 23科目、1,200時間の内)を必要としています。

今回、保育士ルートで示された165時間というと、大変多くの時間という印象をもつのですが、社会福祉士の養成課程を参考にすると、決して多いとは言えない現状があると思います。

講義・演習・見学実習について

とはいえ、現任の保育士さんにとっては、270時間という研修時間は長くて大変になります。そういった、現任者向けに、講義・演習・見学実習について以下のような形式が示されていましたので掲載しておきます。

講義については、対面での授業実施も可能としつつ、インターネット等を活用した遠隔授業(ライブ配信)・オンデマンド形式等による講義を可能としてはどうか。その場合、科目ごとに添削指導を行う、授業の理解度の確認を実施する等、対面での実施に相当する教育効果を担保することとしてはどうか。
演習については、原則、対面での実施としつつも、内容によってはインターネット等を活用した遠隔授業(ライブ配信)を可能としてはどうか。なお、例外的に、災害・感染症等の社会情勢に鑑み、研修の実施が難しい場合には、インターネット等を活用した実施を可能とすることとしてはどうか。ただし、インターネット等を活用した研修の実施にあたっては、下記のような事項が担保されるよう、研修の認定の際留意することとしてはどうか。
・ インターネット等を活用した研修の実施体制が確保されていること(セキュリティ対策)
・ オンライン研修の場合は、各科目についてレポート提出を行う等、受講者の理解度や受講の姿勢が測れるようなものとすること
見学実習については、原則として対面での実施としてはどうか。

まとめ

子ども家庭福祉ソーシャルワーカーは『国の基準を満たした認定機関が認定した研修を経て取得するものとして、令和6年4月から導入』となっています。

ここでは、特に「保育士ルート」についてまとめました。経過措置という限られた期間ということもありますし、将来的には社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得が必須になることを考えると、ここでは保育士ルートからの子ども家庭福祉ソーシャルワーカー取得はお勧めして、ソーシャルワーク機能を果たす者として、一緒に活動していければと思います。

めざし

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