バーンアウトしないためのスーパービジョンの基礎知識

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ソーシャルワーク
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この記事のまとめ
スーパービジョンの基本的なことについて、定義や基礎理論を現任者にとって、わかりやすく解説します。

スーパービジョンの定義

スーパービジョンの定義については、以下の通りです。

ソーシャルワークにおけるスーパービジョンとは、ソーシャルワークを行う施設や機関において、スーパーバイザーによって行われる専門職としてのソーシャルワーカーを養成する過程である。

引用出典:社会福祉士養成講座編集委員会編,『相談援助の理論と方法Ⅱ』(第2版)

まず、スーパービジョンの必要性や基礎をまずは理解するところから始めてみましょう。

いろんな研修でスーパービジョンが必要・大事と聞きます。その一方で、その歴史については、あまり触れられていません。まずは、そのスーパービジョンの歴史についてどのように発展してきたのか知ることの必要があると思います。

ケースワークの源流は、1880~90年代にかけての慈善組織協会(COS)の活動にある。その活動を支えたのが、友愛訪問員と呼ばれるボランティアであった。アメリカのCOSでは、有給職員がその教育にあたったが、それがスーパービジョンの萌芽であると言われている。以後、ケースワークは、その時代の社会的背景や価値観、精神医学、心理学、社会学など隣接諸科学から影響を受けてきた。スーパービジョンは、それに付随する形で発展してきたのである。中略

以下引用出典:ソーシャルワーク演習ワークブック 指導者用(ソーシャルワーク演習教材開発研究会 )

ここから学べることは、ケースワーク(ケアマネジメント)とスーパービジョンは別々でないということ。利用者への援助を実践するケースワーカー(ケアマネジャー)には、だいぶん昔からスーパービジョンが密接であったことを知らないといけません。

ケースワークとスーパービジョンともに発達してきたことがわかります。その歴史などから、必要性を理解することができます。

それでは、次は基礎理論について学んでいきましょう。

スーパービジョンの基礎理論

スーパービジョンの歴史的背景、機能、形態、スーパービジョン関係の重要性等スーパービジョンの基礎理論を理解することで、スーパービジョンを受ける際、その過程で何が行われているかが理解できる。また、同僚間で行うものであっても、単なる学習会で終わらなくなるであろう。

以下引用出典:ソーシャルワーク演習ワークブック 指導者用(ソーシャルワーク演習教材開発研究会 )

何のために理解するのか?これって大切です。下線部は筆者ですが、社会福祉士の勉強会や精神保健福祉士の学習会の機会はたくさんあると思うのですが、その質が上がる効果が期待できるところが大きいですね。せっかくの学習会を効率良く開きたいですよね。

スーパービジョンの3つの機能

ここでは、スーパービジョンの基礎理論である3つの機能について、現任者の経験を踏まえて、解釈したことを述べていきたいと思います。

支持的機能

ソーシャルワーカーのバーンアウト(燃え尽き症候群)の防止、自己覚知や自己実現の促進、それらに伴う痛みやジレンマの軽減などの必要から、支持的機能のスーパービジョンが求められる。中略

以下引用出典:ソーシャルワーク演習ワークブック 指導者用(ソーシャルワーク演習教材開発研究会 )

指示じゃなくて「支持」ですね。当たり前ですが・・・、結構、現場では上司からの「指示」になってしまってないか、熟練ワーカーは常にチェックが必要と思います。

この3つの機能が重複してより効果があるということが指摘されますが、私は現任者として、この支持的機能がやっぱり大事だなあと思うことが多くあります。

それは、援助関係はクライエントとワーカーの信頼関係が基盤となって、支援を行っているものです。その2者の関係が、バイザーとバイジーになったというだけで、根本は同じだからです。信頼関係を礎にして、スーパービジョンも展開していくのだから、この「支持」が基盤になるのも、たいへん頷けます。

教育的機能

具体的なソーシャルワーカーに必要な知識・技術・価値を伝授し、専門性を向上させる必要性から教育的機能が求められる。スーパービジョンの本来的な機能である。

以下引用出典:ソーシャルワーク演習ワークブック 指導者用(ソーシャルワーク演習教材開発研究会 )

出ました三種の神器?!「知識・技術・価値」です。この伝授が大変難しいです。現任者にとっては、価値だけでは実用性が無いような感じになってしまうし、技術だけでも、いわゆる小手先?!になってしまいがちでだめ。知識が先行し過ぎたら、頭でっかちさんのレッテルが張られます。やっぱり、3つともバランスよく伝授することが肝要なのでしょうね。

管理的機能

ソーシャルワーカーが、組織の方針に沿った援助活動を展開し、組織の一員として適切な行動がとれるように管理的機能のスーパービジョンが求められる。ソーシャルワーカーが能力を発揮できるように、職場環境を整える機能でもある。ただし、組織管理に偏重しすぎないように他の機能によって補填される必要がある。

以下引用出典:ソーシャルワーク演習ワークブック 指導者用(ソーシャルワーク演習教材開発研究会 )

管理的という部分では、時には経営的な数字を求められるときもあるでしょう。組織の職員なので、組織からの役割期待は必ずあります。ここについても、新人ソーシャルワーカー(だけではない?)は悩んでいます。現に私もそうでした。

例えば、介護保険事業所であれば、利用者獲得を経営者からは間違いなく言われるし、自分自身はソーシャルワーカーとして勉強してきたけど・・・、と、そのジレンマに苛まれます。

なので、バイザー(熟練者)は、バイジー(新人)が、その時々に何に悩んでいるのかを知っておく必要があるわけです。

これは、ケースワークに照らし合わせるとクライエントがその時々に何に悩んでいるのかを把握することと同じであることに気づきます。ケースワークとスーパービジョンの密接さがここでもわかりますね。

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