
「社会福祉士」の資格について知りたいです。どんな仕事ですか?どんな働く場所があるのでしょうか?年収はどれぐらい?就職先は?
このサイトでは、社会福祉士を取得して20年になる筆者が、
- 社会福祉士の仕事は、どんな仕事ですか?どんな働く場所があるのでしょうか?
- 年収はどれぐらい?就職先は?
などなど、いろんな疑問にお答えしたいと思います。
記事の内容
- 社会福祉士の仕事について、仕事がない?とっても仕方がない資格?
- 社会福祉士のさまざまな仕事について、どの分野にどれぐらいの就労人数がいるのか?
- 年収はどれぐらい?
記事の信頼性
医療・高齢・地域福祉でソーシャルワーカーとして、対人援助職20年以上。現職は、地域福祉機関で管理者をしています。
社会福祉士養成校等で、社会福祉士等の養成に関わって約10年。
有資格は、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、公認心理師。ブログ月間1万PV。
社会福祉士の仕事と就職先について
さて、ここから具体的な仕事の内容と将来性について触れていきます。
- 社会福祉士になっても仕事がない?
- 社会福祉士なんて、取っても仕方がない資格?
など、いろんな意見もありますが、そんなことは全くありません。
社会福祉士の仕事は、活躍の場は、近年どんどん広がってきています。
取得後にどんな仕事があり、就職の選択の幅があるのでしょうか?
ここでは、具体的な社会福祉士の仕事内容や、統計や制度などに基づいて、社会福祉士の就職先について紹介します。
福祉事務所職員等のケースワーカー
いわゆる福祉六法に定められた援護等に関する事務を担う行政職員です。※福祉六法:老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、生活保護法
現況
全国の福祉事務所数は、平成28年10月1日時点で1,247か所となっていて、生活保護担当職員のうち、社会福祉士の取得者数及び取得率は増加傾向しています。(第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会より)
行政職員の求人には、社会福祉士が要件に挙がっていることが多くなっていることが、裏付けられていますね。
私が入職したころ、行政の社会福祉士はほとんどいませんでしたが、20数年が経過して、行政に勤務する社会福祉士は本当に多くなったと思います。
初任給
直近の実態調査結果からは、地方公務員の一般行政職初任給は以下のようになっていました。
大学卒 | 短大卒 | 高校卒 | |
都道府県 | 187,623 | 167,464 | 154,067 |
指定都市 | 183,007 | 163,112 | 150,448 |
市町村 | 184,539 | 165,284 | 152,868 |
自治体によってはさまざまな区分で公務員試験を実施しているため、必ずしもこの限りではありません。
平均給与額

地方公共団体における一般行政職の平均給与月額は、令和2年360,949円となっていました。
平成31年の平均給与月額は362,047円でしたので、比較すると、少し下がっていました。平均年齢は、令和2年、平成31年ともに42.1歳と同数でしたので、単純に微減ということになりますね。
刑事施設及び少年院における社会福祉士
高齢者や障害者などで法律の知識がない、またはコミュニケーションが不自由である人が法律にかかわる問題で困っているとき、司法・行政・福祉が連携して直接働きかけ、課題解決への支援をすること(WAMNET)
現況
平成28年度においては、社会福祉士は刑事施設には99人、少年院には16人が非常勤で配置され
ています。
身分は国家公務員ということになります。
なお、矯正施設(刑務所)の退所者の地域生活支援においても社会福祉士の活用ならびに相談支
援体制の整備等の必要性が指摘されています。
平均給与額
国家公務員の全職員の平均給与月額は413,064円でした。(令和4年国家公務員給与等実態調査の結果概要より)
やっぱり、高いですね。
ひとつのデータとして、施設事業所別の平均年収(※)において、保護観察所・地方更生保護委員会の社会福祉士の年収が638万円と最も高くなっていました。
(※社会福祉士の全有資格者を調査対象にした『令和2年度社会福祉士就労状況調査結果』を参考 以下就労状況調査)
医療ソーシャルワーカー(MSW)
保健医療機関において、社会福祉の立場から患者さんやその家族の方々の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る業務を行います。(日本医療ソーシャルワーカー協会)
現況
医療機関に社会福祉士を配置することで、さまざまな加算等を取得できます。社会福祉士は、診療報酬算定要件・施設基準にたくさん挙げられています。
私は医療ソーシャルワーカーとしての勤務経験から、医療ソーシャルワーカーとして働くためには「社会福祉士」を取得していないと採用はまずされないというのが、現場の感覚です。それほどに、社会福祉士は、なくてはならない資格となっています。
医療ソーシャルワーカーは、全国に27,562人います。(社会福祉士・精神保健福祉士等)(平成29年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 厚生労働省より)。
ちょっと前のデータなので最近の動向を知る手掛かりとして、就労状況調査を参考にしてみましょう。
この調査において、社会福祉士の就労状況のデータがあるのですが、病院・診療所が14.4%となっていました。
社会福祉士の最も多い就労場所は、どこか?それは、高齢者福祉関連で39.3%で最多となっています。
当然と言えば当然のように思うのですが、この高齢者施設関連の内訳は、特別養護老人ホーム(10%)や居宅介護支援事業所(8%)、地域包括支援センター(7.5%)、介護老人保健施設(3.4%)を含めた数字になります。
これらと比較すると、病院・診療所の14.4%という数字が大変多いことに気が付きますね!!
それだけ、社会福祉士有資格者の中で「医療ソーシャルワーカー」がメジャーになっているということなのです。
そして、医療機関における社会福祉士については、今後ますます活躍が期待されています。
以下のサイトを参考にしてくださいね。
平均年収
平均年収384万円
参考:就労状況調査。7,721人が回答しています。
スクールソーシャルワーカー
問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け、関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整、学校内におけるチーム体制の構築、支援、保護者・教職員等に対する支援・相談・情報提供、教職員等への研修活動を実施。(スクールソーシャルワーカー活用事業 文部科学省)
現況
スクールソーシャルワーカーとして雇用した実人数のうち、699人(50%)が社会福祉士資格を有して
います。(第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)
また、文部科学省の「スクールソーシャルワーカーの活用事業実施要項」では、スクールソーシャルワーカー選考の項目が定められています。
そこでは、「社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉に関する専門的な資格を有する者から、実施主体が選考し、スクールソーシャルワーカーとして認めた者とする。」と明記されています。
平均年収
292万円 就労状況調査より(653名が回答)
他の就職先より比べるとスクールソーシャルワーカーは、低賃金のように見えますが、注意点があります。常勤では464万円という金額でした。
常勤・非常勤で待遇の差があるということなのでしょうね。
コミュニティソーシャルワーカーとしての社会福祉士
地域において、支援を必要とする人々の生活圏や人間関係等環境面を重視した援助を行うとともに、地域を基盤とする支援活動を発見して支援を必要とする人に結びつけたり、新たなサービスを開発したり、公的制度との関係を調整したりする(大阪府地域福祉推進室地域福祉課)
現況
社会福祉協議会の職員のうち、社会福祉士国家資格を有している人数は平成27年は9,795人から、平成30年では11,213人と増加していました。(市区町村社会福祉協議会職員状況調査結果より筆者調べ)
平成16年から大阪府でコミュニティソーシャルワーカーの配置が開始されました。
社会福祉法の改正が令和3年に行われ、新たな事業である重層的支援体制整備事業が整備されました。地域共生社会の実現のために、地域福祉のソーシャルワーカーとして社会福祉士は今後大変重要視されています。
以下にその記事を書いていますので参考くださいね。
平均年収
都道府県社会福祉協議会:475万円、市町村社会福祉協議会:447万円(施設事業所別)
地域包括支援センターの社会福祉士
地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域の住民を包括的に支援することを目的とする施設。(介護保険法第115条の46第1項)
現況
全国に地域包括支援センターは、5351か所あります(令和3年4月現在)。そこには必ず社会福祉士を配置する法が定められています。
地域包括支援センターは、約8割が行政から法人委託されていることから、社会福祉士の身分は、社会福祉法人や社会福祉協議会等の職員と言えます。
人口が大きい市町村ほど委託が多いのが実態のようです。
地域包括支援センターの社会福祉士については、以下のサイトを参考にしてくださいね。
平均年収
386万円 施設事業所別
生活相談員・支援相談員
主に施設に入所している高齢者に対し、各種の相談や援助、援助計画の立案・実施、また、関係機関との連絡・調整を行います。もっとも、介護職員の配置が少ない施設では、利用者の生活援助に直接当たることもあります。さらに、利用者の施設における人間関係や不満、将来の不安などについても相談に応じます。(WAMNET)
現況
生活相談員は、特別養護老人ホーム(全国8,306施設)に配置されています。また、支援相談員は老人保健施設(全国4,304施設)に配置されています。
たとえば、支援相談員は、人員基準として、入所者100名に対して1以上が定められています。
生活相談員や支援相談員の求人は、社会福祉士を求めていることがほとんどです。
この施設基準に加えて、2018年には「在宅復帰・在宅療養支援等指標」の算定基準が新たに設けられて、支援相談員を多く配置していることが重要視されるようになりました。
老人保健施設の支援相談員は地域連携の要です。在宅との連携やベッドマネジメントを担っている支援相談員の役割は非常に重要であるということですね。
平均給料
355,150円(介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者、職種別))
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要より抜粋
子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)
子ども家庭福祉分野の新たな資格の制度設計は、ソーシャルワークの共通基盤を担保した上で子ども家庭福祉分野の専門性を身につけた人材を養成する観点から、原則として、子ども家庭福祉分野に関する上乗せの教育課程・研修課程を修めた社会福祉士・精神保健福祉士が認定される仕組みとしてはどうか。(令和3年度 社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 報告書(案)厚生労働省)
上記の報告書のように、子ども分野のソーシャルワーカーとしては、基本的には、社会福祉士の上乗せ資格となっています。
社会福祉士がベースとして求められていると理解できますね。
当サイトでも、この子ども家庭福祉ソーシャルワーカーの資格について、コラムを記載しています。ご参照ください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ここで取り上げた社会福祉士の仕事はどれも今後活躍を期待されている状況です。
以下は、就労分野職種のデータです。

将来性は、取り巻く状況から見て、十分にあると言って間違いはないでしょう。
社会福祉士の仕事は大変重要で、将来性のある資格・仕事だと思いませんか?
私は社会福祉士を20年続けてきて、本当にそう思って仕事に携わることができています。
社会福祉士の専門性や取得については、以下のブログを参考にしてくださいね。